母の「初日」

「もっと早くに始めればよかった」とは、先日スイミングを始めた娘の言葉だ。あれだけやらないと渋っていた娘から、まさかこんな言葉を聞く日が来るなんて。何事もやってみなきゃわからないっちゅうことだ。
今日は私にとっての「もっと早くに始めれば…」な日となった。
息子の小学校入学と同時に入った図書ボランティア。前年度は仕事を理由に数えるくらいの手伝いしかしてこなかった。さすがに所属する意味を自問自答し、今年度からは朝の読み聞かせに入ることにした。
今日は初日。初めての読み聞かせは息子がいる二年二組。初めはお子さんのクラスがいいですよと他のママたちにお気遣いいただき、やってみることにした。
「明日お母さん読み聞かせで行くからね~」と言うと、それまで注意ばかりされてしょぼんとしていた息子は、急に鼻歌を歌い出した。今朝は「何時間目に来るの?」と聞かれ「朝の時間だよ」と答えると、「よっっっっっしゃーーーーー!!!」と大喜びした。お母さんが来るってそんなに嬉しいものなんだ。
図書室でエプロンを付けて、準備万端。「初めてとは思えないくらい堂々としていらっしゃる!」と何人かのママに言われるほど、私の心は落ち着き、楽しみだった。
廊下から息子が見えた。いつも一緒に帰るお友達、一緒に遊びに行くお友達の顔が見えて、なんだか私の心もほっとする。「あ!だいちのお母さんじゃん!だいちよかったじゃーん!」とみんなが息子の肩を叩く。照れ笑いをする息子は嬉しそうだ。これがきっと何年かすれば「うわ!お母さんじゃん」なんて嫌な顔されるようになるんだから面白いね。
さぁ始まった読み聞かせの時間。「おはようございまーす!」と大きな声で挨拶しながら教室に入ると、子供たちも大きな声で挨拶をする。元気でかわいい子供たち、なんだか学校の先生になったような気分だった。
時間は15分。今日は『わかめ』と『サムライエッグ』を読んだ。
わかめってオスとメスがあるんだ~!あたしゃ知らなかったよ~!自宅で練習として読んでみたら、まぁ楽しいこと。きっと子供たちも喜んでくれると確信した。
卵アレルギーと戦う男の子のお話『サムライエッグ』は急遽自宅から持参した本。子供たちにアレルギーについて知ってもらうべく、読むことに決めた。これまで何度も我が子に読み聞かせてきた。最近は手に取ることもなかったから、息子は今日懐かしく思ったかな。
エピペンを知っている子、妹が卵アレルギーの子、読んでいる間いろんな声が聞こえてきた。「あ!食べちゃだめ食べちゃだめ!」ハラハラしながら絵本を見つめる姿が印象的だった。
帰り際「夜ごはんにわかめが出たらお家の人に教えてあげてね~!」と言うと、「毎日出てるよ~!」と返してくれる子供たち。読み聞かせってこんなに温かい時間なんだ。思ったことがダイレクトに口にでるのはきっと低学年までだろう。高学年になればきっとみんな静かに聞いてくれて、また違った景色になるんだろう。
息子が一年生の時、もっと入ればよかったな。もっと早くに始めればよかったな。そんな気持ちを抱きながら学校を後にした。
それでも晴れ渡る空の下、私の心は満たされ、軽やかだった。
きっと今、私は子育てで一番幸せな時にいる。

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\ 私が書いています /

神奈川県出身。
夫と2人の子供と4人暮らし。
20代の頃スペインに約1年間滞在した経験があり、ピソでの各国からの友人たちとの生活は、今思えばまるで映画の中のような世界でかけがえのない時間となった。しかしあの時必死で身につけたスペイン語はいつの間にか風に吹かれて消えていった。今となってはあの1年が壮大な妄想だったのではないかと思い始めている。信頼と語学力は努力を怠れば一瞬で消え行くのである。
心に残る本は『Jimmy』。もしも人生を悲観する日が来たら再び手に取ろうと決めている。

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