映画『PERFECT DAYS』を観た

スマホではなく読書しながら眠りについて、 スマホがなくとも朝自然と目を覚ます。ささっと身支度を終えて、玄関のドアを開けた平山が決まってするのは、空を見上げること。その表情が、彼の心の充実度を表現しているなと、私は思う。そこそこ経済的に恵まれた仕事をしていたとしても、 多くの人は鬱屈とした空気に飲み込まれて空を見上げる余裕などないだろう。役所さん演じる平山のトイレ清掃員という仕事は、人々が進んでやりたがる仕事では無い。でも彼はとても丁寧に、実直に日々仕事に向き合う。 何でこんな仕事を?という声も、彼にとってはなんて事ないように思える。 仕事を終えて行きつけのお店でくつろぐ彼と、 その横を通るサラリーマンたちのコントラストが印象的だった。彼の現代にアップデートされない生活。昔から使い続ける物に囲まれた、雑音の無い部屋。そこにはどこを探したって、他者と比較する手段となるものが 一つもない。情報過多のこの時代、 比較しないと思っていても、気づけば他者を意識する瞬間がある。望んでもいない情報が勝手に視界に飛び込んできて辟易することがある。きっと彼の生活には、そんな疲れは無縁だろう。できることなら、あんな風に生きてみたい。と、思う反面、彼は様々な気持ちをどこで誰と共有するのだろう。という疑問も湧いてくる。毎晩見る夢の中で解決してしまうのだろうか。役所さん、品の良さが隠し切れてなくて、 この役にはほんのちょっと違和感あるんじゃないなんて思っていたけど、 その品もこの作品において重要な要素だった。足るを知ること。他でも無い自分にとっての大切なもの、心地の良いものを見失うな。そんなメッセージをこの作品から私は受け取った。役所さん、どんな役でもかっこいいなぁ。「この世界には繋がっているようで、繋がっていない世界がある」自ら繋がらない世界を選んだ平山もまたかっこいい。私にそんな選択できるかな。

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      私が書いています✍️

神奈川県出身。
夫と2人の子供と4人暮らし。
スペインに約1年間滞在した経験があり、ピソでの各国からの友人たちとの生活は、今思えばまるで映画の中のような世界でかけがえのない時間となった。しかしあの時必死で身につけたスペイン語はいつの間にか風に吹かれて消えていった。今となってはあの1年が壮大な妄想だったのではないかと思い始めている。信頼と語学力は努力を怠れば一瞬で消え行くのである。
40代に突入し身につけた特技と言えば、簡単に2キロ太れるというどうしようもないもののみ。
人生の一冊は『Jimmy』。もしも人生を悲観する日が来たら再び手に取ろうと決めている。

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